次の瞬間─…
隣に停車していると思われるバイクが、無駄にエンジンを吹かすような音が聞こえてきた
───なに?威嚇っ?!
乗っていた人間の顔を見る時間は無かったが…後ろに女の子を乗せていたように見えた。そんな状態でうるさくエンジン音を吹かすなんて…頭がおかしいのではないかと心配になってくる
「くっそ…マジで嫌いだわ、、遊佐 京志郎」
──…遊佐《ゆさ》…?
っえ…なに?バイクの運転手と知り合いなの?
顔を上げようとするが、グッと力を込められてそれを阻止される
「ちょっとそのまま隠れてて─…遊佐に藍ちゃんの顔を見られるのはマズいっ、」
……藍ちゃんって、馴れ馴れしいな。誰も下の名前で呼んでいいなんて許可した覚えはないぞ
やがて…信号が青になったのか、バスが発車して─…それと同時にバイクが走り去っていく音が響いた
「………ごめん、苦しかったよね」
篠宮の腕から解放されてすぐに、奴のおデコを軽く小突いた。「こら、藍ちゃんっ…」って相変わらず私を睨みつけてくる篠宮。
『─…篠宮だって悪い…勝手に触らないで』
スマホを取り返して、再び彼に背を向けて前を向いて座った。……何なんだ、全く。
心臓に悪いな…急に抱きしめたりとかっ、しないでよ。