「うわぁああぁああぁ、籃ちゃんっ…胸、当たってるんですけど…いいんですかぁああ?!神様ご褒美ありがとうございまぁあぁあぁっす!」
──この男…後で覚えとけよ。
反撃出来ないことをいい事に、好き勝手大声で叫ぶ篠宮。ムカついて腰に回していた手にギュッとMAXの力を込めて締め付けてやる。
「あー…サイコー。幸せえぇえっ!!!!」
コイツ、ドMなんかな?これ以上は無駄だと思い篠宮の背中に頭をくっつけて目を閉じた
皮肉にも、篠宮のこのバカな行動のおかげで今は父親のことを考えずに居られた。そして気がつく…この人は多分私のためにあえて、こんな風にバカな言動を繰り返してくれているのだと
私が余計なことを考えずに済むように…わざと明るく気分を盛り上げようとしてくれているのだと。
そう思うと…ムカついていた気持ちが愛しさへと変わる。電話を掛けてはいけないと思っていたのに、篠宮は迷うことなく私の声に応えてくれた。
誰とどこに居たって篠宮は…私との約束をちゃんと守ってくれたんだ
『……好きだよ』
本当にね、大好きなの。ねぇ篠宮…早く志帆さんと別れて私のことを好きになってよ。
もう約束を破ったりしないから、彼氏として私の隣でこの先を一緒に過ごしてよ