「籃ちゃんのこと、攫っちゃおうかなって…割とガチで考えてるよ…いま。」



……なんて?!



「頬が腫れてるのはあの父親に叩かれたから?怖くなって靴も履かずに飛びだしてきたの?手をケガしてるのは転んだから?」



正解だけど─…間違ってる。



『手は…割れた壺の破片を触ったから、』


「なんで、俺に連絡しないの?なんで遊佐が俺に電話してくんの?」




それはっ、志帆さんと居るって知ってたから、





「俺を呼べって、言ったよな?なぁ…何のためにソレ持ってんの?使い方知らねぇなら捨てちまえよ」



『……え、っえ、ちょっとっ?!』





篠宮は私の手の中にあったスマホを取り上げ、それを遠くへ放り投げた。って…コイツまじか




「このまま、俺と駆け落ちしない?籃ちゃん、何もかも捨てる覚悟…ある?」


『な…に、言ってるのっ、』


「俺は籃ちゃんが居れば他になにも要らない」




本気…?無理に決まってる、なんで急にそんなこと言い出した?何考えてるの?っていうか駆け落ちって…今の時代そんなこと通用する世の中では、




「俺が籃ちゃんを囲っちゃえば、もう泣かなくて済むだろ?」


『……篠宮、』


「他に方法がないなら俺は…本気で籃のこと連れ去るけど…その覚悟、お前にはある?」




覚悟なんて、そんなこと急に言われても…分からないし…すぐには答えられないっ