「痛いって感情が、籃ちゃんに存在してて安心した」



─…は?なんだこのサイコパス野郎



「籃ちゃんがちゃんと"痛い"って言える子で良かった。もう大丈夫だよ、俺…居るから」




篠宮がくれる真っ直ぐなその言葉たちはいつも私を震えさせる。だから泣きたくもないのに、無条件に涙が溢れてしまうんだ。




「…じゃ、俺はもう帰っていい?」



遊佐くんは立ち上がって私と篠宮を置いて自身のバイクのロックを解除する




「……籃ちゃんを、止めてくれてありがとう」


「お前も、この前蓮水さんが泣いてること教えてくれたから…これで貸し借りはナシってことで。」


「あぁ…そろそろ決着つけようか、」


「また、連絡する」




連絡する…って、遊佐くんは篠宮の連絡先を残してるってことだよね?やっぱりきっかけが無かっただけで二人は今もお互いのことを思ってるんだ




バイクで歩道まで突っ込んできた篠宮とは違い、ちゃんと国道までバイクを手で押して運ぶ遊佐くん。性格が出るなぁ…と思いながらその後ろ姿を見ていると、隣に篠宮が座った気配を感じて視線を横にずらす



「籃ちゃん、俺が今何考えてるか当ててみて」



篠宮の考えていること…?って、あぁ。



『食事会抜けたこと、後悔してるの?』


「なわけねーだろ、怒るよ?」




………違うのか?じゃあ、何?