「兄貴、ベタベタと美雨に触るなよ」

「えー、別にいいじゃん。今からもっといっぱい触るんだから」


見兼ねた真雪が私を引っ張り自分の方へ抱き寄せる。


な、何なんだ。いつも毒しか吐かないくせに。


戸惑いながら真雪を見つめれば、背筋も凍るような冷ややかな瞳を向けられた。


それにゾッとして真雪から逃げようとすれば、
「…まさか、逃げようとしてないよね?」と強い力で腕を掴まれた。


何なの、一体。
やっぱり受験のことで怒ってるのだろうか。


でもまさか私の部屋に居るとは思わなかった。真雪も受験が終わったばかりのはずなのに何で私の家に居るんだろう。自分の家でゆっくりしとけばいいのに。


しかも、なんで千尋までいるの?
2人が揃ったら更に厄介なことになるんだから本当に勘弁して欲しい。