ーーー数十分前。


「…無事に終わって良かった」


高校受験を終え、まだソワソワと落ち着かない心で自宅への道のりを歩む。

手応えがあったかどうかは分からないけど、受かってるといいな。

…まあ、受かってないと困るんだけど。


「…真雪(ましろ)たち、怒ってるかな」


締切間近に志望校をこっそり変えたから。

同じ高校を受験するはずの私が受験会場にいなくて、嘸かし驚いただろう。

はぁ、と重い溜息が自然と漏れる。

だって、もううんざりなんだ。
幼馴染だからって、私をいじめて遊んで。

流石に我慢の限界。
これからはアイツらがいない世界で楽しく生きるって決めたの。

受験当日まで隠すのが大変だったけど、本当にバレなくて良かった。

もう隠す必要もないし、今更アイツらに何か言われたところでどうしようもできないから、全く以て清々しい気分である。