桜田は本部長の勧めに従って当日の街頭演説を取り止め、今後の対策を事務所に缶詰めになって考えた。
先ず、これを誰が作って誰がFAXしたかを突き止めなければならない。
次に、この写真に写っている男が自分ではないことを証明しなければならない。
その上で、警察に被害届を出さなければならない。
桜田は、どうやって成し遂げるかを必死になって考えたが、どこからどう手を付ければいいのかまったくわからなかった。
それに、本部長の疑わしそうな視線を感じて、心が折れそうになった。
しかし、質問は続いた。
「桜田さん、この写真は本当に君ではないんだね?」
「間違いありません。このような女性と逢瀬したことは記憶にありません」
「酒に酔って記憶がないということも有りえるんだ。本当に違うと言い切れるんだね」
「はい。酒は好きですが、酔った勢いで女性を口説いたことはありません」
「間違いないね? 非常階段でキスしたり、女性のマンションに出入りしたことはないんだね?」
「絶対にありません。天地神明に誓ってありません」
彼は桜田を食い入るような目で見た。
桜田の目が泳いでいないか確認するような目つきだった。
桜田は視線を動かさなかった。
本部長をしっかりと見つめ続けた。
「わかった。では次、奥さんのことは?」
「妻とは……残念ながらうまくいかなくなり、昨年離婚しました。今は大阪の実家に戻っています。しかし、ここに書いているようなことが原因ではありません。というか、このような事実はないのです」
「本当だね? 奥さんに暴力を振るったことも、自宅で奥さん以外の女性とセックスしたこともないんだね?」
「そうです。両方とも事実無根です」
「しかし、奥さんが泣いている顔写真はどうなんだ?」
桜田はその写真を穴が開くほど見つめた。
「ん~、多分、この写真は本物だと思います。本物だと思いますが、誰がどこで撮ったものか……」
まったく心当たりがなかったので何度も首を横に振ると、「わからないんじゃあ、否定しようがないだろう」と強い口調でたしなめられた。
「でも、事実無根なんです。全部嘘なのです。信じてください」
そう訴えることしかできなかった。
しかし、本部長は声を返してくれなかった。
無実の証明をしない限り、彼に信用してもらうことはできないのかもしれない。
居たたまれないような無言の時間が過ぎた。
先ず、これを誰が作って誰がFAXしたかを突き止めなければならない。
次に、この写真に写っている男が自分ではないことを証明しなければならない。
その上で、警察に被害届を出さなければならない。
桜田は、どうやって成し遂げるかを必死になって考えたが、どこからどう手を付ければいいのかまったくわからなかった。
それに、本部長の疑わしそうな視線を感じて、心が折れそうになった。
しかし、質問は続いた。
「桜田さん、この写真は本当に君ではないんだね?」
「間違いありません。このような女性と逢瀬したことは記憶にありません」
「酒に酔って記憶がないということも有りえるんだ。本当に違うと言い切れるんだね」
「はい。酒は好きですが、酔った勢いで女性を口説いたことはありません」
「間違いないね? 非常階段でキスしたり、女性のマンションに出入りしたことはないんだね?」
「絶対にありません。天地神明に誓ってありません」
彼は桜田を食い入るような目で見た。
桜田の目が泳いでいないか確認するような目つきだった。
桜田は視線を動かさなかった。
本部長をしっかりと見つめ続けた。
「わかった。では次、奥さんのことは?」
「妻とは……残念ながらうまくいかなくなり、昨年離婚しました。今は大阪の実家に戻っています。しかし、ここに書いているようなことが原因ではありません。というか、このような事実はないのです」
「本当だね? 奥さんに暴力を振るったことも、自宅で奥さん以外の女性とセックスしたこともないんだね?」
「そうです。両方とも事実無根です」
「しかし、奥さんが泣いている顔写真はどうなんだ?」
桜田はその写真を穴が開くほど見つめた。
「ん~、多分、この写真は本物だと思います。本物だと思いますが、誰がどこで撮ったものか……」
まったく心当たりがなかったので何度も首を横に振ると、「わからないんじゃあ、否定しようがないだろう」と強い口調でたしなめられた。
「でも、事実無根なんです。全部嘘なのです。信じてください」
そう訴えることしかできなかった。
しかし、本部長は声を返してくれなかった。
無実の証明をしない限り、彼に信用してもらうことはできないのかもしれない。
居たたまれないような無言の時間が過ぎた。