◇ 寒田と黄茂井 ◇

 三文字ワルガキ隊によって明来貴真心への虐めを封じられた寒田と黄茂井は胸糞(むなくそ)悪い思いが充満して爆発しそうになったが、体の大きな三人が毎日教室に来て威嚇(いかく)するので大人しくせざるを得なかった。

 しかし、5年生になってその呪縛(じゅばく)から解き放たれた二人は、うっぷんを晴らすかのように行動を始めた。
 獲物探しだった。
 虐められるのを待っているような女の子を見つけ出して捕獲するのだ。
 
 クラスの様子を見ながら慎重に探していると、小柄で内気で目立たない女の子が目に留まった。
 更に様子を見ていると、仲の良い子もいなさそうだった。
 2学期になった時、その子のことを〈ターゲット〉と名付けた。
 獲物狩りを始めることにしたのだ。