「…俺帰るわ」
「え?大丈夫?1人で帰れるの?」
やっぱり身体が痛むのか、顔を顰めながらゆっくりと上体を起こして立ち上がった。
「女に心配されるほど弱くねぇわ」
「弱ぇじゃんお前。ぶふふっ」
「……クソうぜぇ」
「安心しろよ?ツキは強いこの俺がしっかり送り届けるから」
「あぁそうかよ!」
蒼井さんをキッと睨みつけ、ベンチの横に置いていた彼の鞄を奪うように取るとドスドスと歩き出した。
「ちょっ、麟くん!」
「だから麟くんって呼ぶなっつの!!」
ぷんすか怒って公園を出て行った麟くんの背中を見ていると蒼井さんがいつの間にか隣に立っていた。
「俺らも帰るぞ」
「あ、はい…」
大きく伸びをして私の前を歩き出した蒼井さんの肩には私の鞄が掛かっていて慌てて追い掛けた。