「どうして喧嘩なんかしてたの?」

「…別にお前には関係ねぇよ」


ムッとした顔で麟くんは私から顔を背けた。


「だっせぇな」

「あ?」

「弱ぇくせに喧嘩なんかすんなよ」

「うるせぇな、つかなんでお前がここにいんだよ」

「ツキの護衛」

「「は?」」

「…マジでこいつなんなの?」

「知らないよ、私だって分かんないもん」


ストーカーのように付き纏われていたのは護衛の為だったのか、……と納得できるわけがない。
だいたい“護衛”って…、私何から狙われて守られてるっていうんだよ。


「ブフッ、んだよ、“もん”って。マジでほんとにさ、記憶失くしたお前面白すぎて笑い死ぬわ、やめてくれ」


またしても1人だけゲラゲラと笑っている本人は私達が冷たい視線を送っているのに気付いていない。