「はぁっ、はぁっ…」


しばらく走った後、お互い息を切らしながら後ろを振り返り男の人が着いてきていない事を確認した。


「…っで?お前あいつの事知ってんの?」

「知らない!何も、分かんない…」


これじゃ新しい場所に来た意味がない。
まさかこんなところで記憶を失くした弊害が見つかるなんて。


「……麟くん」

「麟くんて呼ぶな」

「助けてくれてありがとう」

「…おう」


この事、久住さんに報告するべきかな…。
何かあったらって言ってたけど。

呼ばれた名前は違うけど、あだ名とかだったら本当に知り合いかもしれない。

麟くんに家の近くまで送ってもらいその日は終わった。