「…羽宮?何してんだお前」

「ぁ、っ麟くん!」


背後から聞き覚えのある声がしてなんとか振り返るとそこには麟くんが居た。
いつもお昼ぐらいには帰っているはずなのに、どうやら今日は放課後まで学校までいたらしい。

今の私にとってはラッキーだった。


「助けてっ、」


その言葉に麟くんは顔色を変え駆け寄って来てくれた。


「誰だお前。この手離せよ」

「お前こそ誰だよ」


私の腕を掴む男の人の手を掴み、思い切り睨んでいる。
たまに私を鬱陶しそうに見るあの目ではなく警戒を含む目で。

2人はしばらく睨み合った後、男の人がパッと私の腕を離した。
その瞬間に麟くんは私を自分の背中に寄せ庇うように間に入ってくれた。


「ぷッ、おいなんだよ?キャラ変でもしたのか?」


お腹が痛い、と言いながらおかしいくらいに笑っている。


「……で?お前誰なんだよ」

「らしくねぇよ、誰かに守られるなんて」


笑いすぎて目に浮かんだ涙を拭いながら麟くんの背中から頭だけを出して様子を伺う私を見た。