「お前の記憶についてだけど…」

「あぁ、今のところ彼女が記憶喪失という事は私と深山だけが知っているが…。どうする?クラスメイトや他の教員にも共有した方がいいか?」

「…いや、このままでいい。ここはツキにとって新しい場所だしどちらにしろ記憶があっても関係ないだろ。好奇心で近寄られてもツキが可哀想だ」

「なんか、すみません…」

「…よく謝るようになったな、お前。別にお前は悪くねぇんだから気にすんな」

「でも、」

「また一からやり直すつもりで学校生活楽しめよ」

「……はい」


4人で少し話した後、早速教室へ向かう事になった。
途端に薄れていた緊張がまた返ってきてしまう。
それが隣に座っている久住さんに伝わったのか、フッと優しく微笑まれた。


「頑張れ、ツキ」

「うぅ…はい、」


校長室のドアを開けてくれた深山先生にお礼を言って校長室を出た。