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「……なぁ、もうそれでいいって」

「ダメですよ!最初が肝心なんです。ほら、ネットにも第一印象が良くないとダメだって書いてあるでしょ」


履歴に残っているサイトをそのまま久住さんに見せた。

《最初は第一印象が大事!》

世界中の色を集めてきたようなポップな色合いのサイトに久住さんは顔を思い切り顰めた。

洗面所から動かない私を見て一向に終わらない準備に痺れを切らしているのかソファの背もたれに項垂れてため息と文句を言っている。


「マジでもう行かねぇと時間ねぇぞ」

「えぇっ、でもっ」


前髪が気に食わないのに。
未だ前髪を弄る私に呆れ顔をしながら洗面所に来て大きくため息をついた久住さん。


「はいはい、可愛いよ。すごく可愛い。十分ですそれで。十分第一印象良いよ。サイコー」

「…適当すぎるんですけど」


背後に立つ久住さんを鏡越しに見ていると、私の髪をおもむろに指を通しクルクル遊びだした。


「思春期女子高校生さんよ。初日から遅刻したらその方が第一印象悪いんじゃないんですかね?」

「っ分かりましたよ。もう行きます!」


寝室に置いたままの鞄を取りに行き、既に玄関に居る久住さんの後ろを追い掛けた。