「寒くない?」
と、恭介くん。



私は笑顔で首を振る。



「でも美春ちゃんの鼻の頭、真っ赤だよ」

「!!」



慌てて鼻の頭を手で隠して、俯く。



「隠さなくてもいいのに」

「恥ずかしいです」

「可愛いのに」



恭介くんは楽しそうに笑って、私の顔をのぞき込む。

ちょっとだけ、意地悪されたような気持ちになって。

私と目線を合わせた恭介くんに向かって、変な顔をしてみせた。



「美春ちゃん、変顔してるー」

「そうです。変な顔してるから、見ないでください。恥ずかしいんですっ」

「えー、余計に見たいけどなぁ」



恭介くんがケラケラ笑っている。

あまりにも嬉しそうに笑うから。

なぜか嬉しい気持ちでいっぱいになってしまって。

私もつられて「えへへ」なんて笑ってしまった。



「どんだけ可愛いんだよ」



そう言った恭介くんの瞳が。

とても愛情に満ちていて。

心臓がドクンッと跳ねた。