「あっ……! あの、違うんです、ごめんなさい」



どうしよう。

気を遣わせてしまった。

恭介くんは何も悪くないのに。



「わ、私も思い出したってことを伝えたくて」

「えっ?」

「一緒に行きたいとか、一緒に見たいって考えた時に思い出すのは、恭介くんなんだってことを伝えたかっただけなんです」

「!!」



恭介くんが。

黙ってしまった。



(……もしかして、余計に墓穴掘った?)



血の気が引く。

恭介くんを、困らせたいんじゃないのに。



「美春ちゃん」

「……はい」



恭介くんは、「はぁーっ」とため息を吐いた。



(これは、怒ってる? 呆れられてる?)



ドギマギしながら、恭介くんの言葉を待つ。




「……ちょっと待って。本当、やばい」

「?」

「そんなこと言われたら、オレ、期待しちゃうからダメだよ」

「!!」



恭介くんが「もうこの話、終わり!」と言って、
「よし、じゃあ、イベント会場に行こう」
と、歩き出した。