恭介くんに聞いてほしいお願いは、ひとつだけ。



(ずっと、そばにいてほしい)



それだけ。

私のそばに、これからもいてほしいよ。




「あっ、電車が来るんじゃない?」



恭介くんの言葉に、私はドキドキしながらじっとフェンスの下を見下ろす。



ホームに電車が近づくアナウンスが流れているらしい。

ここからでは聞こえないけれど。

遠くに見える電光掲示板が光っている。






電車が見えた…………!!






「!!!」






電車が。

通り過ぎて。

私は思わず恭介くんに視線を移す。




「……あの、数えられました?」



尋ねると、恭介くんは、
「いや、無理でしょう」
と呟き、笑い出した。



私もつられて笑ってしまう。



「貨物列車かぁ〜!! いやぁ、あれは無理だよね? スピード半端なく速くない?」



やって来た電車は、恭介くんの言う通り貨物列車で。

ゴーーーッと音を立てて、ホームに止まることなく去って行った。