「見て、美春ちゃん。ユカイくん、こっちを見てる!」
「わっ!! 本当です!!」
思わぬところで、推しと目が合い、胸がキュンとする。
「動画撮るチャンスなんじゃない?」
と、恭介くんのナイスアドバイスを貰い、私はスマートフォンを取り出した。
だけど、動画を撮り始めたらユカイくんはそっぽを向いてしまい、のそのそと動いて背中を向けてしまう。
「あぁ〜、つれないです……!」
「あはははっ! 本当だ、つれないなぁ」
「でも、でも! 目が合った事実が嬉しいです!」
「うん。絶対にこっち見てたもんね?」
「はい」
ニコニコして頷くと、恭介くんも嬉しそうに笑ってくれた。
「あっ、恭介くん! 見てくださいっ」
「ん?」
「あのキリン!」
と、私がユカイくんとは違う、まさに今、こちらに歩いてきたキリンを指差す。
「キリッとした瞳の、せいちゃんです!」
「せいちゃん?」