キリンのブースにやって来て。
私の目は、ある一点に集中した。
……見つけたからだった。
推しである、ユカイくんを。
「美春ちゃん、どの子がユカイくんなのか、わかるの?」
「わかります。あのとろんとした眼差し、ゆっくりとした動作……」
「……どのキリンもそうだと思ってたけど」
苦笑いしている恭介くんに、私は手で指し示し、
「ユカイくんです」
と、誇らしげに紹介した。
「本当だ。なんか他のキリンより一層とろんとしてるかも」
私はユカイくんに小さく手を振り、
「は、初めまして」
と、小声で挨拶をした。
「ん? 初めましてなの?」
恭介くんが驚いた顔をしている。
「直接、ユカイくんと会うのは、今日が初めてなんです」
「えー、そうなんだ!? 会えて良かったね」
「はい。恭介くんのおかげです!」
行動力がないからか、ひとりでは動物園に行こうとは思えなかった。