キリンのブースは市立動物園のちょうど中央にある。

入園門近くの現在地からは少し距離があるけれど、うきうきしながら歩く。



「何くんだっけ? 待ち受けの、キリンの名前」

「あ、ユカイくんです」

「ユカイくん! そうだった」



ユニークな名前だけど、なんか良いよなって恭介くんは笑う。



「飼育員さんが、これからこの子に愉快なことがたくさん起こりますようにっていう願いを込めたそうです」

「へぇ、それ良いね。愉快なことがたくさん……かぁ」

「はい」



少しだけふたりとも黙って。

恭介くんが、
「ここに来ようと思って、この動物園のSNSを見つけたんだけど」
と、また話し出す。



「美春ちゃんは見てる? ここのSNS」



私は大きく頷く。



「あの投稿の画像とか本当、愛情いっぱいで良いよな? カバの……、誰くんだったか忘れたけれど、水に浸かってるだけの画像、見た?」

「あっ、見ました!」

「あれ、すごくない?」