「『えっ』って、えっ?」

「あの、最寄りの駅って……」

「B駅でしょ?」

「!!」



送ってもらえるのは、映画館の最寄り駅だと勘違いしていたから、余計に驚いていると。



「あっ、ちょっと待って。もしかして、そこまで一緒に来るのかよって引いてる!?」



恭介くんが珍しく慌てている。

私はぶんぶん首を振って。



「嬉しいです」
と、心からの言葉を伝えた。




安心したのか、
「良かった。オレだけじゃなくて」
と、恭介くんは言う。



「?」

「もう少し一緒にいたいのが、オレだけじゃなくて良かった!」



ニコニコしてくれる。

そのことが嬉しくて。

私もニコニコ、笑ってしまう。






電車の中。

並んで座席に座る。

ふたりとも話さないけれど、この沈黙は怖くなかった。

安心感たっぷりの、こんな静かな時間もあるんだなって。

私、初めて知った気がする。



「……ねぇ」
と、何駅か過ぎた頃。



恭介くんが私に話しかけてきた。