想像するだけで。
心が満たされる。
5分もしないうちに、通りの向こうで恭介くんの姿を見つけた。
この間も思ったけれど、オシャレな人なんだな。
シンプルな装いなのに、どこか洗練された印象で。
やっぱりかっこいい。
恭介くんが、私に気づいたみたい。
少しだけかけ足で、こちらに近づいて来る。
「ごめん、待たせたね」
私はスマートフォンのロック画面に表示されている時刻を見せて、
「大丈夫です」
と、伝えた。
「……キリン?」
「えっ?」
「あ、ごめん。ロック画面の待ち受けが……」
私は何のことかわかって、
「市立動物園にいる、キリンのユカイくんです」
と、もう一度見せた。
「ユカイくん?」
「そうです」
恭介くんは目を細めて、
「可愛いね」
と、言った。
(えっ!?)
ドキンと心臓が跳ねたけれど、
(いやいやいや、ユカイくんが可愛いってことだよね)
と、冷静になる。
それでも、自分の推しているユカイくんを褒めてもらえて、やっぱり嬉しい。