眉間にシワを寄せたまま、章二くんは「以上!」と、そっぽを向いた。
私は、
「ありがとう」
と、心からお礼を言った。
「別にお礼言われるようなこと、言ってないし!」
「まぁね、そうだけど、章二のわりには良いこと言ったよ!!」
なんて優里亜ちゃんが笑うから、章二くんは「うるせー」と言いつつ、つられて笑っていた。
ふたりに、
「私、行きたい。映画館……、恭介くんと」
と、言った。
「よく言った! さすが美春!! 私の親友!!」
「勝手に親友認定してんじゃねーよ」
「しょうがないなぁ、章二も私の親友にしてあげるって!!」
「は? 別にいらない!!」
盛大に嫌な顔をした章二くんを無視して、
「ほら、美春は早く先輩に返事する!」
と、優里亜ちゃんに言われる。
「な、何て返事すればいい?」
「それは自分で考えないと、先輩に失礼なんじゃない?」
そうだよね、と私はスマートフォンを見る。