私は優里亜ちゃんと章二くんを順番に見て。

小さな声で言った。



「……わ、私なんかが……、デート、とか、良いのかな…………?」



顔が真っ赤になってきた。

恥ずかしくて。

情けなくて。

涙が出て来そう。



だって。

恭介くんの休日を。

私との時間で、奪ってしまう。



一緒にいられるなんて。

嬉しくて。

夢みたいだけど。



同時に、自信がなくて。

隣にいられるのかなって。

幻滅されないかなって。

不安でいっぱいになる。



「何言ってんだよ」
と、章二くんが私のおでこを軽くはじいた。



(デコピンされた……)



「笠松先輩は、美春と映画を観て楽しく過ごしたいんだよ」



章二くんは不機嫌そうな声で、でも私を真っ直ぐに見つめて言う。



「他の誰でもない、美春と行きたいから誘っているのに、そんなふうに言うなよ」

「…………!!」

「だいたい、自信なさすぎ。美春はすぐ『私なんか』って言うけど、もっと自信持てよ」