「あー、いいよ。恭介で。あと『先輩』はいらないから」

「えっと、じゃあ、恭介……くん」



ドキドキして、スマートフォンを持つ手が震えている。



「何て名前?」
と、恭介くんが私を見る。



「瀬野 美春です」



恭介くんが爽やかに笑って、
「美春ちゃん」
と、私を呼んでくれて。



風が吹いた。

ピューッと私の頬を撫でていく。



胸の真ん中が甘い香りで満たされた。