Q高校の彼は驚いている章二くんに、
「ちょっと落ち着いて座れる場所、ない?」
と尋ねる。



「すごく怖い思いをしていたみたいだから」



そう言った彼に、章二くんは校内に設置された簡易ベンチがあると伝えて、連れて行ってくれた。



「美春、ごめん。オレ、駆けつけんの遅くて」



申し訳なさそうな章二くんに首を振る。

それから「あの……」と、Q高校の彼のほうを見て、
「ありがとうございました。すごくすごく助かりました。……さっきの、その、彼女さんにもお礼をお伝えください」
と、言った。



彼は少し間を置いて。



「……彼女さん?」
と、不思議そうな顔。



「えっ?」



その不思議そうな表情に戸惑っていると、
「あー! 違う、ちがう!」
と、彼は笑った。



「彼女じゃないよ。オレ達、顔は似てないもんな。わかんないよね?」

「?」

「双子の妹なんだ、さっきの。今日は妹の学校の文化祭に遊びに来ただけ」

「……っ!!」