「ちょっと、暴れないでよ、美春ちゃん」
と、ニヤニヤされて、またゾッとする。



そこへ二人ほど、イベントマップを片手に近づいて来た。

ひとりはうちの制服を着た女の人で、もうひとりは私服姿の男の人だった。



助けて!



そう言いたいけど、さっきから続く恐怖心のせいか、思うように声が出せない。

精一杯の力を振り絞って、三人から走って逃げる。

それでもすぐに捕まってしまう。



「逃げるなんてひどいじゃーん」

「美春ちゃん、オレらと遊んでくれるんじゃないの?」



泣きそうになりながら、首をめいいっぱい振る。



「あの」
と、私服姿の男の人が近づいて来た。



「は?」



三人がその人を睨む。



「嫌がってると思うんだけど」

「えっ? そんなことないよね? 美春ちゃん?」

「いや、嫌がってるよ。離してあげて」



私服姿の男の人と目が合った。



(あれ?)



その時。

ピューッと風が吹いた。



(この人……、知ってる。あの時の……!)