私は体をよじって逃げようとしたけれど、それは叶わず、
「ほら、じたばたしないでよー」
と、肩に置かれた手に力が入り、むしろ逆効果になってしまった。
「きみ、一年生? 地味だけどマジ可愛くね?」
「あはははっ! お前、地味とか失礼じゃん!」
「いや、でもわかるかも。派手な感じは全くないけどさー、可愛いんだよね」
そのまま離してもらえず、体育館の裏まで連れて来られた。
人の気配がない場所に来て、私はより一層怖くなる。
「美春?」
と、頭上から呼ばれた。
見上げると、体育館の隣に建つ校舎の二階の窓から、章二くんが顔を出している。
「何あいつ、きみの知り合い?」
「ってか、美春ちゃんっていうの? 可愛い名前」
三人組はそれでも私から離れない。
章二くんはこの事態を察してくれたのか、
「ちょっと待ってて!」
と、窓から離れた。
先生を呼んできてくれるのかもしれない。
私は、どうにかこの三人と離れられるように、じたばたもがいていた。