清掃が行き届いているか定かではない、安っぽいラブホテルのベッドに体を投げ出す。

男の手がワンピースの中を弄り、衣類に包まれた体が解放されていく。私にとっては久しぶりのセックスだ。


男が全身にキスを落とした後、私の顔に顔を近付けてきた。
私は軽く顔を引きそれを拒む。


「キスはしないでください」


何度体を重ねても、この男とキスだけは未だにしたことがない。
この男は何人もの若い女を相手にしているから、それを忘れているのだろう。


「そういうところも好きだよ。いつかさせてね」


この人は私の嫌がることを極力してこないから有り難い。
無理矢理キスをしてこようとした人は今まで何人もいる。そういう人たちは切った。

残ったのはこの人を含む数人程度。

現在進行形で、体を差し出す引き換えにお金をもらう関係を続けている。






お金に困っているわけでも、セックスが好きなわけでも、自分の父親と同じような年齢の男が好きなわけでもない。



ただ――お金をもらうことで、自分の価値を知れるから。