私が少しぼんやりしながら
複雑な思いで立ち尽くしていれば


「…ルナ、どうした?」


響さんはまた心配そうな声を出した。


「やっぱり体調が悪い?」

「いえ…そんな事はないです」

「…じゃあ何か不安な事でも?」


響さんは私が病弱な事も妊娠が難しい事も
全て分かった上でなぜか結婚してくれている。


…響さんは優しくて心が温かい人で
私は日に日に好きになってしまうのだけど


でも…響さんは柏木組の若頭。
それもたった一人の跡取り息子だ。

私が子供を産めなければ
柏木組の血が途絶えてしまう。


…私と響さんとのお見合いを進めた
響さんのお父様も、
最初は響さんと私とのお見合いを微笑ましく
見てくれていたのだけれど

お見合い中に両親が、
"月は子供が産めない出来損ないですよ"
と、私の事を嘲笑うように言うと

響さんお父様の表情は一変し

その次の日に両親から響さんとの結婚の話は
破談になったと言われた。