「あ…いえ、そんな事は…」

辻川さんに優しいと言われ
言葉を詰まらせながら少し照れていれば


「啓、ルナを口説くな」


響さんはとても不機嫌そうな
圧のある低い声を出していた。


「口説いているつもりは…」

「お前は無意識に
人を引き付ける癖がある。
あまりルナと関わるな」


響さんは冷たくそう言いながら
辻川さんと共に部屋から出ると


「じゃあルナ、ゆっくり休んで」


辻川さんに掛ける声とは大違いの優しい声を
私に掛けると襖をゆっくりと閉めた。