「入れ」 

響さんがどこか圧のある声で
襖の向こうにいる方に言うと

「失礼します」

開かれた襖の先にいたのは響さんの側近の
辻川(つじかわ) 啓(けい)さんで…。


「若、そろそろお時間ですが…」


辻川さんは響さんを呼びに来たようで

「分かってる。今行く所だ」

響さんは辻川さんにそう声を出すと
再び私の方を向き


「ルナ、いってくるな」


また優しい顔で微笑んでくれた。