「…本当にすみません」


私が柏木組に嫁いでから
響さんにずっと気を遣わせている感じがして
凄く申し訳なく思っていると


「ルナ、謝らなくていいから。
本当はもっと可愛い寝顔を見たかったけど
そろそろ俺は行かないといけないから。
仕事に行く前に、ルナの体調を確認したかっただけ」


響さんは私を怒る所かずっと甘やかしてくれ、
普段凛とした切れ長のカッコいい瞳は
私の前では優しく細めて笑ってくれる。


「体調は大丈夫です」


私がそう言うと響さんは安心したように
「良かった。顔色も良さそうだしね」
そう言って私の頬に手を当ててきて…


「響さん、そんなにじっと見られると
恥ずかしいのですが…」

私が目を反らせば

「恥ずかしがる事はないよ。
ルナが凄く可愛いから
見つめたくなるんだから」

響さんは私の頬を擦りながら甘い言葉を掛けてきて、それにドキドキしていれば


「若、入ってもよろしいですか」


襖の向こうから
ふいにそんな声が聞こえてきた。