「お前がぶりっ子するからだろ」


 批難するような目で見るとショウは眉間に皺を寄せて私を睨んできた。

 
 眼力が凄い。

 本気で鬱陶しいと思われていそう。


 でも、私からすれば普通に喋ってるだけだし、ヤメろと言われたって、いったいどの辺りを変えればいいのか分からない。


 だからキラキラに目を輝かせて怒り心頭なショウの顔を下からチラッと覗き込んだ。


「そう言われても。普通に喋ってるだけだよ?」


 “男の子は上目使いに弱い”

 乙女マジック。ふふ。



 「どこがだ。どう見たって態とブリッコしてるだろ」


 乙女マジックが効いたのか、効かなかったのか……。

 ショウはバカにしたように鼻で笑うと、私に背中を向けて足早に歩き始めた。


 歩幅が違う所為ですぐに距離が空いていく。



 「あー!もう、ショウったら。ちょっと待ってよ~!」


 小走りでショウを呼び止める。

 急いで追い掛けたのに歩くスピードが早すぎて全然追いつかない。

 でも、ショウは振り返ることなく黙々と歩いていく。



 「ねぇ、ショウってば……」


 少し大きめな声で呼んでみた……けど、全く振り返らない。

 ショウの身長は175cm。私の身長は148cm。ってことは……。

 (175-100)─(148-100)=27歩幅の1歩の差が27センチ。10歩だと2・7メートル。100歩だと27メートル。

 えぇ~。疲れる……。