「ばか、ばか、ばかー!」
ヘラヘラ笑うショウの背中を軽く両手で叩いて抗議する。
ちょっとは反省してよね!って意味を込めて。
でも、ショウは私を無視して店員さんからケーキの箱を受け取ると、そのまま自動ドアの“開く”のボタンを連打して、さっさとお店を出て行ってしまった。
「もー!ショウ。置いて行かないで!!」
挨拶をくれた店員さんにペコと頭を下げ、出て行ったショウの後を慌てて追い掛ける。
ドアを開けると外の熱気が一気に押し寄せてきた。
夏休み真っ只中の8月初旬。
蝉が煩いくらいに鳴き叫ぶ……。
「お前がトロいんだよ」
お店から出て2、3件隣の判子屋さんの前まで歩いていたショウは、コチラに振り向くとニヤリと悪魔みたいにほくそ笑んだ。
いつも私に意地悪をした後に見せる顔。オジさん譲りのつり目に笑い皺が出来る。