「やーんっ!オジサン怖ーいっ」


 ヤンキー漫画の喧嘩シーンの男の子みたい。


 「ナオ、カンナァァッ!!てめぇら、本気でぶっ飛ばすっっ」


 オジサンに睨まれたショウは拳を握り締めて、私たちに向かって怒鳴ってきた。もう深夜なのにー。


 「俺は本当のことを言っただけだよ」

 「黙れっ!都合のいい時だけカンナの味方をしやがって」

 「敵とか味方とか、昔からそういうくだらない言葉が好きだよね。これだからお子様は」


 ショウに怒鳴られたナオは布団の中に潜り込んで、面倒くさそうに冷たく言い捨てる。

 ショウとナオ、たまにこうやって仲が悪くなっちゃう時がある。 多分、性格が合わないのかも……。


 「んだとコラァァァ!」

 「黙れ」


 怒りに任せてナオに飛び掛かろうとしたショウのシャツの襟首を健オジサンが片手で掴む。

 掴む手に青筋が浮かび上がって相当力が入っているに違いない。


 「離せよ!オヤジ」

 「離せじゃねぇっっ!!テメェの根性1から叩き直してやらぁぁぁ!来い」

 「ちょっと待っ……」


 そして健オジサンは暴れるショウを羽交い締めにすると、そのままズルズルと廊下に引きずり出して部屋の扉を乱暴に閉めた。