「違うっ。これは、その……」
「何ってただのイトコ同士のスキンシップ?」
焦る私とは対照的にナオはクスクスと笑いながら私の背中に腕を回してきた。ビックリして飛びのこうとしたら逃がさないとばかりに腕にギュっと力を込められる。
ナオの胸板に頬が当たって思わず赤面。シャツ越しに温もりが伝わってきた。
いやっ。恥ずかしいっ。ナオったら、どうしてショウの前でこんな……。心臓の鼓動が速まってくる。
「ね、もしかしてナオって本当は私のことが好きなの?」
にやけそうになる口を押さえて、ここぞとばかりにナオに尋ねてみる。
もしかしなくても、これって独占欲からくる行動なんじゃ……?
“カンナは俺のもんだぜ!”みたいな?いつもの意地悪は照れ隠し?やだー!ドキドキするっ。
「……まぁ、よくそんな自信満々に恥ずかしい発言が出来るよね」
返ってきたナオの声は溜め息交じりだった。あれ?と思いつつ、そっと顔を上げてナオの顔を覗き込んでみる。
そしたらナオは冷めた目で私を見つめていた。物凄く呆れてる。
「えー、だって……」
「普通、思っても心の中で留めておくでしょ」
「そうだけど、気になったんだもん。こんな行動をとる理由って大体そうだし」
「普通にショウをからかっただけなんだけど。ひくわー」
自信満々に言う私にニコリとも笑わず、ナオはドン引きした顔で私の体を押し退けてきた。
何だぁ……。違ったんだ。つまんないの。