そんな風に思いながら2人が食べているケーキに視線をやると、どっちとも側面の部分が変に崩れていた。

 あぁ、やっぱりちょっと形が崩れちゃってるし。
 本当にショウたら物の扱いまで雑なんだから。

 そう言えば、ショウ……。帰ってこないけど、大丈夫かな?
 少し心配になってきた。

 ううん。アレはショウだって悪いんだ。私を殴ろうとしたわけだしっ。
 だから、まぁ、いいや。

 「私も食べよ……」

 気持ちを切り替えてケーキの箱に手を伸ばす。箱を開けて中を覗くとチーズケーキはなくなっていた。

 「カンナちゃんっ!?いったいどうしたのっ!?」

 ドサッとスーパーの袋が床に落ちた音がリビングに響く。

 振り返ったら、ドアの前でママが唇を微かに震わせながら小麦粉塗れの私を見て立ち尽くしていた──。