「……カンナ」
 「何?」
 「カンナ」
 「うん?だから、どうしたの?」

 怒る私を見上げて優しく微笑みながら名前を連呼してくるナオ。

 しつこいなぁー。もう。

 いったい何なの?と首を傾げて考えていたらナオはふと声もなく笑った。


 「このアングルからだとパンツ丸見え」
 「へっ?ちょっとやめてよっ。見ないで!!」

 指摘されて慌ててスカートを手で押さえる。

 もう。ナオったら……。直ぐに教えてくれたっていいのに。


 「不可抗力だよ」
 「えー」
 「それに自分でも驚くくらい何も思わなかった」
 「はい?」
 「もっと興奮するものかと思ってたのに。所詮、ただの布かって……」


 至極、残念そうに鼻で笑われ、何それ!?と怒りに目を見開く。
 乙女のスカートの中を覗いておきながらバカにしたように鼻で笑うなんて。
 本当にナオったら失礼だ。

 「いくら何でも失礼すぎないっ?」


 思わず私が睨むとナオは片眉を上げて溜め息をついた。同情を含んでいるような、困っているような、微妙な微笑みを浮かべながら。


 「あー、ごめん。嘘。本当は結構興奮した。今日のオカズにする。これでいい?」


 物凄く適当な感じに謝ってくる。


 「余計に傷つくんだけど……」


 あまりの態度に呆然。
 もう泣きそうになってきた。
 どうして私がこんな言われ方をしなきゃいけないの!?
 本来ならナオは私に往復ビンタをされたっておかしくないのにっ!