「カンナ?何やってんの?」

 あたふたしているとナオが小バカにしたような声で再び私に尋ねてきた。
 キッチンからは死角でナオの姿は見えないけど、絶対にバカにした顔で笑っているってことくらい安易に想像ができる。

 いっつもそうだもん。


 「もう!ビックリさせないでよっ」
 「ごめん、ごめん。それでショウは?」
 「ショウはヒーロー的なオジ様と話してる」
 「ふーん。そう」
 「うん」
 「それより早く食器棚を閉めれば?」


 自分から聞いてきたくせにナオは大して興味がなさそうに素っ気ない返事をしてきた。


 「もう!自分から聞いたくせに」


 ちょっとだけ腹が立って食器棚の扉を閉めてぶつぶつ呟きながら頬っぺたを膨らます。そしたら小麦粉が頭上から降ってきた。


 「えぇっ?な、何これっ?」


 大量の白い粉が私の全身を包む。抵抗する間も止める暇もなく、小麦粉はあっさりとキッチンの床一面に広がった。

 やばいっ。どうしよう。マ、ママに怒られる!!