見つめ続けられて恥ずかしくなってきたレーナだったが、だんだんとこの綺麗な顔に見覚えがあるような気がして記憶をたどった。
 しかし以前に会っているのなら、特徴のある彼を忘れたりしないだろう。なにかおかしい。

 懸命に考え込んでいたら、ふと今朝の夢を思い出した。
 どこかで会ったのではない。この人は間違いなく今朝の夢に出てきていた男性だ。
 レーナの頭の中でこま切れだったシーンが、まるでパズルが埋まるみたいに徐々にひとつにまとまっていく。

「あの……」

 笑みを消し、真っ青な顔になって唇を震わせる。
 その様子に気づいたオスカーは心配して「大丈夫?」と声をかけた。
 レーナは両手を胸に当てながら、深呼吸をしてコクリとうなずく。

「もしかして近いうちに宴がおこなわれますか?」
「宴? ああ。王様が家臣たちと絆を深めたいと仰られていて、五日後にシルヴァリオン宮殿の大広間で予定されている」

 国王は労いの気持ちを込め、重要行事として宴を時折催している。
 日持ちのする野菜が食材庫にたくさんあったのはそのせいだ。

「それがどうかした?」

 尋ねられたレーナは一瞬黙り込んだあと、意を決して口を開いた。