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「アリア、どうしてこんなところにいる」

 アリアがイベリスの元に来てから半年が経ち、いつものようにイベリスの部屋を抜け出してアリアは城の周辺を探索していた。最初の頃は城の中を探索するだけだったが、城内のほとんどの場所を見尽くしたアリアは飽きてしまい、城の周辺まで足を伸ばすようになっていた。

 今日いるのは城のすぐ隣にある騎士の鍛錬場だ。そこでは国専属の騎士たちが鍛錬する場所でサイシアもここで日々鍛錬をおこなっている。

 獣姿だったアリアはその場で金色に光り人間の姿になった。

「最近サイシアの姿が見えないから、探しに来た。イベリスも気にしてたよ」

 アリアがそう言うとサイシアは一瞬目を見開きほんの少しだけ顔を赤らめるが、すぐに真顔になって口を開く。

「最近は魔物討伐と巡回でイベリス様のところに行けなかったからな。だがもう任務も終わり、そろそろまたイベリス様のところに行けるはずだ」

「そっか、それはよかった」

 すっかり言葉の話せるようになったアリアはそう言って嬉しそうに笑う。それを見てサイシアは片手で顔を覆いながら顔を伏せる。

(なんでそんな無防備に笑顔を向けてくるんだ、こっちはあまりの可愛さに心臓がもげそうなんだぞ)

 サイシアの心の声など聞こえるはずもなく、そんなサイシアの様子にアリアは不思議そうに首を傾げた。