アリアはふと自分で自分の姿をちゃんと見ていないなと思い、イベリスの部屋にある鏡の前に立った。

(わぁ、自分で言うのもなんだけどすごい綺麗……!前世の自分とは大違いね。やっぱりウサギみたいな姿と同じ髪色はシルバーグレーなんだ。肌すべすべで毛穴見えないな、すごい。でも、ずっとこの姿なのかしら?もうウサギみたいな姿になってみんなにモフモフしてもらえないのは嫌なんだけど)

 鏡をしげしげと見つめながらそんな疑問を浮かべていると、またアリアの額の石と体が急に金色に光り、アリアはウサギのような姿に戻っていた。

(えっ、戻っちゃった!?もしかして戻りたいって思ったからなのかしら)

「アリア、その姿に戻れるんだね!よかった、人間のアリアも好きだけど、もうモフモフできないのかと思っちゃったよ」

 イベリスはアリアをそっと抱き上げ、頬を擦り寄せた。

「聖獣は獣の形も人の形も自由自在になれると言い伝えられていますからね。アリアもそれができるのでしょう」

(よかった、あのままの姿だと心臓がもたない)
(ウサギみたいな姿、なんとなく安心するな)

 モルガもサイシアもホッとして微笑みながら一人と一匹を見つめる。

「でもこの姿だと言葉を覚えるのは難しいかな?」
「この国の言葉を教えるのはその姿のままでも大丈夫だと思いますよ。何せ聖獣ですから」

 イベリスの疑問にモルガが答える。その様子をアリアは鼻をひくひくさせながら眺めていた。

(モルガって何かあればすぐ聖獣だからって言うけど、そう言えばとりあえずなんとでもなるって思ってる節はないかしら?まあ、伝説の生き物みたいだし仕方ないのかもだけど)

 それ以来、アリアはその姿のままイベリスからこの国の言葉を教わるようになった。