(確かにサイシアは苦手だけど、嫌いなわけじゃないし顔はめちゃめちゃタイプなのよね……。他の二人には撫でてもらっているのにサイシアにだけ撫でられないのも何だか違う気がする。サイシアはどんな撫で方をするのかも気になるし)

 アリアはモルガに顔を向けてからサイシアの方に手足をバタつかせた。

「ほら、アリアもサイシアに撫でてもらいたいようですよ」

 そう言ってモルガはサイシアの膝にそっとアリアを乗せ、サイシアは恐る恐るアリシアを見つめる。

「い、いいのか、本当に」

 そう言って遠慮がちにアリアを撫でる。確かにサイシアの手はゴツゴツとして硬い。だが、それはサイシアが国でもトップを争うほどの騎士である証であり、サイシアの生き様が現れているかのようだ。そして何よりもサイシアは本当に本当に壊れ物を扱うように優しく、静かにアリアを撫でてくれた。

(サイシア、ぶっきらぼうだし手もゴツゴツしてるけど、それでも撫で方に人柄が現れているわ。サイシアの撫で方もとっても気持ちがいい)

 アリアは嬉しそうに目を細め、サイシアの手に擦り寄る。そんなアリアの様子を見てサイシアは思わず嬉しそうに微笑み、その微笑みはアリアの胸を撃ち抜いた。

(な、な、な、なにその微笑みーっ!?ギャップのすごい破壊力……)

 何を隠そうアリアは前世の追放令状の頃からギャップに弱い。そして聖獣となった今でもギャップにとても弱かった。

「本当にふわふわで気持ちがいいな。しかもとても可愛らしい。撫でさせてくれてありがとう、アリア」

 静かにそういうと、サイシアはゆっくりとアリアをモルガの膝へ移した。

「気持ちよかったでしょう?イベリス様がゾッコンになるのもわかる気がします。……さて、アリアの話はこのくらいにして、本題に入りましょう」

 真面目な顔で言うモルガの言葉に、サイシアもいつもの真顔に戻る。