自分が粗末に扱われている、と気付いたのはそう遅くはない時期だった。家族は碌に口を利いてくれなく、自分より10歳ほど歳下の妹にかかりっきりだ。


 それはいい。ただ、明らかに、私が成長すればするほど私はいないものとされている気がしてやまない。
嘘だ、とか思うかもしれない。じゃあ試してみようか。



「お母さん、」

「私今、忙しいの」



 と、まるで生ごみでも見るかのような、冷たい視線を向けられる。お母さんは、まだいい。
愛情なんて貰えないし、貰った記憶なんて無い。唯一、あるとすれば、物心つく前の事だろう。

 だが、お母さんよりもっと酷い人がいる。