一番前の窓側の席の私はゆっくりと後ろを振り返った。


―――案の定、女子の目は全員ハート。

  男子の目は嫉妬の炎にゆれていた。


「五十嵐の席はー・・・ここ!」


先生が指差したのは私の斜め後ろの席。


隣の席になった女子は


喜びの表情を隠せずにいた。


女子の目がハートから嫉妬の目になる。


この瞬間ほど怖いものはない。


そんなことは露知らず


五十嵐梓は真っ直ぐこちらに歩いてきた。


・・・ん?


“こちら”に?


気がつくと目の前に五十嵐梓が立っていた。


そして彼は言った。


「・・・大谷蓮・・・」


私の名前を・・・って、ええええぇぇ!?


何で私の名前知ってんの!?