フグガシャフグガシャ
 ふぐ……ふぐのガチャポン……
 そうやって必死に覚えた呪文……。

 ひゅ~~~~っと寒い風が吹く。

 何も起こらず……ただ空と大地と岩と、散らばったおそなえがあるだけだ。

 ひゅ~~~~

 ひゅ~~~~

 もっかいひゅ~~~~と風が吹いた。
 

「ううううっ……うそでしょう……」

 がっっくりと光は膝を地面について、うなだれた。
 この魔法陣から、どんなお友達になってくれる子がでてくるかな?
 
 きっとかっこいい子! 可愛い子! といつもクラブのみんなと盛り上がっていた。
 
 でも、今、誰もいない……。

 何もでてこなかった……。そして、今、誰もいない……。

 寂しい、悲しい、寒い。

 ショックで、少し土の上に寝転んでいた光。

 でもそろそろ帰らなきゃと、思って起き上がる。

 その背中で、魔法陣は少しだけ赤く光っていたことに気付けない。
 魔法陣のなかの物もビニール袋に拾って、トートバッグに入れた光は帰ろうとする。

「あ~もうこんな時間だ」

 落ち込んで帰ろうとする光の背後に、何かがボウッと現れた。

 それは光の背後で、大きな口を開ける鬼……!