麻那人と一緒に汗だくになって、夕暮れの風がちょっと冷たく感じた光。

「今日の夕飯は何かなぁ」

「なんだろうね」

 光のお家はコテージのような洋風の、三角屋根のお家。

 『あの映画に出てくる魔法の家みたい!』ってキャッキャと家の前を通り過ぎる人もいる。

 玄関の優しいランプ照明を見ると、ホッとした。

 夕飯の、いい香りがもうしてくる。
 お父さんが、料理をしているんだ。

 光のお父さんは、光が三年生までは、毎日帰りが遅い会社員をしていた。

 お母さんは冒険家で、家に帰ってくることは殆どない。
 
 寂しいなと思うけど、光はお父さんとお母さんの活躍が嬉しかった。

 おじいちゃんもいなくなって、一人でご飯を食べるのが寂しい時もあったけど、両親に言うことはしなかった。

 でもお父さんが少し体調を崩してしまったあと、お父さんは会社を辞めて家にいるようになった。

 お父さんが毎日美味しい料理を作ってくれるようになって、光は嬉しいと思う。

「ただいまーー!

「ただいま帰りました」

「おかえりー! うわー二人とも汗だくじゃないか!」

 そう言われて、二人とも笑う。

 手洗いうがいをしっかりしてから、冷蔵庫の麦茶を出して一気に二人で飲み干した。