「(私は暗記してること、たしかに沢山あった……)」

「でしょー! だから麻那人君がリーダーでいいんじゃない!? リーダーは初心者の方がいいのよ!」

 ラーが勝った! と言わんばかりにふんぞり返る。

 麻那人が初心者?

 この中で麻那人が誰よりも魔術に詳しい……詳しいというか悪魔王子なわけなのだが……。

「ラーは、自分勝手すぎるよ!」

「光がウザいの! なんでも一人で決めないで!」

「それはラーでしょ!! むきー!」

「なによ……むきー!」

「ふん!」
 
「ふん!」

 二人ともお互いから顔をそむける。
 
「私もう帰る! 麻那人君と新しいクラブ作るし! ねぇいいでしょ? 麻那人君」

「おやおや……どうだろう」

 麻那人は笑いながら困ったような顔で、両手をフリフリした。
 そんな麻那人の返答は、気にしないでラーは話を続ける。

「ねぇ麻那人君は、スマホ持ってる~? メール教えてよ~」

「スマホ? あぁ……これだね」

 麻那人が持っているのは、明らかにまんじゅう悪魔おじさん……ファルゴンがスマホのように四角くぺったんこになっている姿だが……。

「さっすがぁ~」

 光もスマホは持っているけれど、色々と約束もあって長く続くおしゃべりメールのやり取りはしていない。

「でも、僕も光と一緒で、短い連絡しかできないよ」

「(なんで私のスマホの約束知ってるの!?)」
 
「えっな~んだ、そうなの。でも遊ぶ日にち決めたりできるね! じゃあまた明日学校でね~」

 ラーはそれだけ笑顔で言うと、ふん! 光に言ってから神社を出て行った。