◇◇◇
「はぁ~」
学校から帰って、夕方。
リビングのテーブルでココアを飲みながらため息をつく。
光の家は、映画に出てくる魔女の家のように古い。
あちこちに不思議な置物や、キラキラした鉱物が置いてある。
『アンティーク』で、とても高価なものらしい。
壁には、光が小さい頃に亡くなったおじいちゃんの肖像画。
おじいちゃんは魔法や不思議が大好きで、ずっと研究をしていた。
リビングだけではなく、屋根裏部屋には沢山の謎の本やアイテムがある。
小さな頃に、光り輝く炎なんかを見せてくれた。
光はそんな、おじいちゃんをそんけいしていて、いつかおじいちゃんのような魔法使いになりたいのだ。
そしておじいちゃんの絵の横には、世界中を飛び回る冒険者のお母さんの似顔絵。
光と、お父さんと、お母さんの三人の笑顔の絵。
大事な大事な家族だ。
「光、ココアもう一杯飲むか? クッキーもまだあるよ」
「ん~……もういいかな」
光の家では、お父さんが毎日ご飯を作ってくれたり、宿題を見てくれる。
ちょっとお腹がでてるけど、メガネをかけた優しい大好きなお父さんだ。
「な~~お」
黒猫のクロをなでて、光はまたため息をつく。
「どうした?」
「なんでもない……」
いつもは十枚はクッキーを食べるのに、今日は五枚。
お父さんは少し心配そうだ。